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そもそも著作物と言えなければ、転載しても著作権の侵害とはなりません。著作権法第2条第1号は、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しています。 判例などから、次のような結論が一般に認められています。 ・客観的データ自体は思想性を帯びることはないから著作物ではない ・ただし、イラスト化されたデータは著作物となりうる ・創作的であるというには、作成者の何らかの個性の表現されたものであることが必要 ・事実の伝達に過ぎない雑報および時事の報道は著作物ではない ・「時事に関する論説」は、著作物だが、新聞や雑誌などへの転載は原則として自由(39条) 引用の要件 著作物を転載しても、引用と認められれば、著作権の侵害とはなりません。著作権法第32条第1項は、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」と定めています。
このサイトでは、引用部分を罫線で囲み、リンク先も表示しているので、明瞭区分性と出所表示の条件も満たしています。 問題となるのは主従関係です。この要件は、条文の「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるもの」の部分に対応するものですが、いささか抽象的で、どのようにすればこの要件を充たすことができるのか、その判断は容易ではありません。 主従関係とは何か 主従関係とは、自らの著作物を作成するため、他人の著作物を一部使用するという関係にあることです。あくまでも独自の著作活動があることが必要であり、そしてその著作に必要な限りで使用が許されるということです。 「報道、批評、研究その他の引用の目的上」とありますから、評論、解説、分析などがこのような著作活動に当たります。 他人の主張を批判する場合、その主張のどのような点に納得できないかを示すためには、その著作内容の一部を再現する必要があります。そして、そのような場合、許可を得なければならないとすると、効果的な批評が妨げられることになります。なぜなら、引用物の著作権者が、自らに都合の悪い著作物には、引用の許可を与えない恐れがあり、そうすると批評は抽象的なものにならざるを得ず、著しく説得力を欠くものになってしまうからです。 したがって、引用は「何ら著作権者の許可を必要とせず勝手に」できることに意味があります。 ただ、「目的のために」といえるのかどうか、最終的な判断は裁判所が下すことになります。そのため、「著作権侵害で訴える」と脅されると、必要以上に自粛してしまうという問題があります。しかし、そのような脅し文句の言い分を吟味してみると、著作権法の趣旨を理解していないものも多くあります。 そのような理不尽な言いがかりに反論するためにも、@何を主張したいのかを明確に示す、Aそのために必要な引用かどうかを常に意識しておく、ことが大事です。 |