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 韓国現代史 大統領たちの栄光と蹉跌(中公新書) 
 木村幹/著(中央公論新社)2008/8/25

 2012/10/4
 次の7人の大統領の生い立ちを通して、韓国現代史を語るというのがテーマです。
 7人の伝記を1冊にまとめたものと言ってもいいですが、各時代ごとに7人がランダムに登場するため、少し混乱してしまいます。そこで、本書を参考に、7人の経歴をまとめたのが次の表です。
 韓国では地域ナショナリズムが顕著なので、出身地も重要な要素です。特に金大中は全羅道では圧倒的支持がありました。もっとも、最近ではそのような傾向も薄れつつあるともいいます。
  出身  在位期間   
李承晩(イ・スンマン)
1875/3/26〜
1965/7/19 
黄海道
 現在の
 北朝鮮
1948/7/20〜
1960/4/26 
名門の出身。1904年渡米後ほとんど米国で民族運動。上海臨時政府の初代大統領 
尹潽善(ユン・ボソン)
1897/8/26〜
1990/7/18 
忠清南道牙山市  1960/8/12〜
1962/3 
資産家に生まれ英留学。李承晩政権で商工部長官、後に対立。当初軍事クーデターに協力 
朴正煕(パク・チョンヒ)
1917/11/14〜1979/10/26 
慶尚北道善山郡
亀尾面 
1963/10/15〜
1979/10/26 
師範学校卒、教師を経て新京軍学校卒、満州軍中尉。韓国軍少将となりクーデター決行 
金泳三(キム・ヨンサム)
1928/12/20〜 
慶尚南道巨済島  1993/2/25〜
1998/2/24 
実家は網元。ソウル大哲学科卒。1954年、最年少国会議員。
野党幹部を経て大統領候補 
金大中(キム・デジュン)
1924/1/6〜
2009/8/18 
全羅南道荷衣島  1998/2/25〜
2003/2/24 
父は島の有力者。木浦商業学校卒、海運会社を起こし新聞社買収。その後政界に転じる 
廬武鉉(ノ・ムヒョン)
1946/9/1〜
2009/5/23 
慶尚南道金海郡  2003/2/25〜
2008/2/24 
釜山商業学校卒、働きながら司法試験に合格。租税専門の弁護士を経て政界に転じる  
李明博(イ・ミョンバク
1941/12/19〜 
大阪市平野区  2008/2/25〜  4歳で帰国。苦学し高麗大卒。大学で学生運動。現代建設に入社、破格の出世。政界へ 
 本文では、年代順に各時代をそれぞれの登場人物がどう過ごしたかを記述しています。すなわち、大統領および未来の大統領の目を通して、韓国現代史をいわば物語として語るという手法をとっています。したがって、まるでドラマを見るような興味深い読み物となっています。ただ、そのような趣旨から、経済社会情勢の分析や各政治家の政治理念や政策の違いなどの「堅い話」についての記述に若干の物足りなさを感じます。
序章  それぞれの「暑い夏」  1845年8月15日=日本の終戦記念日:韓国の光復節 
第1章  大韓民国建国――1945〜49年  米軍政期から第1共和国=李承晩政権成立まで 
第2章  朝鮮戦争勃発――1950〜53年  朝鮮戦争の混乱期 
第3章  四月革命への道――1954〜60年  李承晩政権の独裁化から失脚、亡命まで 
第4章  五・一六軍事クーデタ――1961〜63年  第2共和国から朴正煕の軍事政権成立まで 
第5章  日韓国交正常化――1964〜70年  第3共和国=朴正煕政権、日韓基本条約による経済成長 
第6章  維新クーデタ――1971〜72年  上からのクーデタ、憲法の一部停止で朴正煕4選 
第7章  朴正煕暗殺――1973〜79年  第4共和国、金大中拉致事件、朴正煕の独裁強化、暗殺 
第8章  「新軍部」による支配――1980〜86年 光州事件を経て、第5共和国=全斗煥軍事政権
第9章  「第六共和国」の興亡――1987〜2002年  第6共和国、盧泰愚-金泳三-金大中-廬武鉉を経て民主政権確立 
終章  「レイムダック現象」の韓国政治――2002年〜  李明博現政権 
 また、参考文献や韓国政党変遷図、憲法制度変遷、大統領選候補者得票、韓国現代史関連年表などの豊富な資料が収録されているので資料集としても活用できます。