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読書ノート / 通史
本書は、同じ著者による「少年日本史」(皇學館大学出版部)を3部に分割した文庫版の中巻です。「少年日本史」はこちらのサイトで読むことができます。文庫版ではやや難しい漢字が平仮名に置き換えられている以外は、内容は同じものです。以下、本書の引用はこちらのサイトを利用させてもらいました。 主役は国学者で脇役が戦争物 本書の内容は次のようになっています。江戸時代の国学者や勤皇思想家が主役で、戦国の三英傑と幕末の戦争物が脇役となっています。山鹿素行や山崎闇斎など教科書で名前だけ知っている程度なので、勤皇思想の流れを理解する上で参考になります。
秀吉を賞賛、家康には辛口 信長については、著者は、次のように(12ページ)評しています。「信長の目的とするところは、朝廷の再興だった」というのは、あまり聞かない話です。
朝鮮出兵は「双方の不幸」 秀吉の朝鮮出兵については、著者は、次のように(33〜34ページ)「我が国としては、得るところ極めて少なく、朝鮮にとっては、すこぶる迷惑な、つまり双方の不幸」と評しています。戦争に駆り出された日本の民衆にとって「不幸」なのでしょうか、侵略した権力者が失敗したことが「不幸」なのでしょうか。「唐南蛮までも皇威に服するようにしたいという希望または計画を、はっきりと述べていた」ことや300年も前の元寇について言及していますが、それらが朝鮮出兵を正当化するという意味なのでしょうか。
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