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読書ノート / 社会
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仏教諸宗派の関係は、かなり複雑ですが、次の歴史的系統図(10ページ)は理解に大変役立ちます。この系統図は本書掲載のものを少し加工し、クリティカルマップとしたものです。紫の線で囲んだ部分は、それぞれの総本山のサイトにリンクしています。総本山はネット検索で上位にあるものを選んだので、実情に反しているものもあるかもしれません。 なお、本書によれば、大安寺は高野山真言宗に属しており、三論宗という宗派は現存しないそうです。 南都六宗は、三論(さんろん)宗、成実(じょうじつ)宗、律宗、華厳宗、法相(ほっそう)宗、倶舎(くしゃ)宗ですが、成実宗、倶舎宗は小乗(上座部)仏教の宗派(学派)で格下扱い(寓宗)されていました。律宗も小乗宗派ですが、僧侶の規則を定めるものなので、大乗仏教とも関係があるので、寓宗とはされていません。 奈良時代の寺院は国家施設であり、僧侶は一種の官僚だったので、檀家を持つ必要がなく、葬式佛教化することもなかったそうです。現在では、南都六宗は、法相宗(興福寺、薬師寺)以外は、小規模な宗教団体として残っているに過ぎないそうです。 日本の仏教宗派が教団としての体裁を整えるようになるのは、平安時代に、最澄と空海が、天台宗(比叡山延暦寺)と真言宗(東寺、金剛峰寺)を開いてからです。この時代には、仏教宗派が封建領主化していきます。特に、南都(興福寺)北嶺(延暦寺)は、強大な経済力軍事力を持ち、独立国家の体をなすようになります。延暦寺は仏教の各宗派の教えを広く受け入れた総合大学のような組織で、鎌倉以降の新宗派は、いずれも何らかの形で、天台宗の影響を受けています。 著者は、仏教宗派の思想を理解する上で、@法華信仰、A密教、B浄土信仰、C禅、の4つのファクターが重要だと指摘します。 @法華信仰とは、法華経に対する信仰ですが、大乗仏教では法華経が最高位の仏典とされているので、すべての仏教宗派はその影響を受けています。日蓮宗、特に、日蓮正宗、創価学会は、法華信仰に背く教えを謗法(ほうぼう)とし激しく攻撃し、軋轢を生みました。 A密教は、大乗仏教の最後の段階で、ヒンドゥー教と習合する形で生まれました。護摩を焚くなどの儀礼や神秘性に特徴があります。真言宗は密教を重視していますが、浄土真宗を除いて、多くの宗派に広い影響を及ぼしています。 B浄土信仰は、死後に西方極楽浄土に生まれ変わることを願う来世信仰で、中国仏教独自のものです。日本では、念仏信仰を伴って平安末期から流行し始めます。浄土信仰は、浄土宗、浄土真宗(一向宗)のならず、天台宗や真言宗にも受け入れられています。浄土宗の宗祖法然は、「南無阿弥陀仏」と唱えさえすれば極楽往生がかなうという革新的な教えを主張したため弾圧されます。なお、著者は親鸞が流罪となったことには疑問を呈しています。 C禅は、6世紀のインド出身の僧侶、達磨に遡る瞑想による修行法(ヨガの一種?)ですが、座禅という実践を必要とし、現世利益などを目的としないため、禅宗の宗派以外には受け入れられていません。 現在の仏教宗派の規模を、寺院数で見ると、次のようになります(興山舎 仏教界データリンク集)。 お葬式プラザ葬儀しきたり館>日本の主な宗旨宗派リスト)。
いずれにしても、東西本願寺派を合わせれば、浄土真宗が最大の宗派で、曹洞宗、浄土宗、日蓮宗、真言宗がそれに続く規模といえそうです。 |