top / 情報社会
著作権法10条2項は、新聞記事について次のように定めています。
この点については、「同項の意味は,死亡記事や人事異動記事など誰が書いても同じになるような事実に忠実な報道のことを意味し,新聞記者の個性が現れる場合や,社説,その他の学術的な記事については,著作権は成立するとするのが通説」で、その根拠は「事実の伝達にすぎない雑報および時事の報道とは,単なる事実のみからなるものであって,思想または感情の創作的表現とはいえず,誰が書いても同じになってしまう」ことにあるそうです(高林龍著「標準著作権法」35ページ)。 10条2項は確認事項なのか しかし、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)のですから、「単なる事実のみからなるものであって,思想または感情の創作的表現とはいえ」ないものは、そもそも著作物とはいえず、上述の10条2項はそのことを繰り返した単なる確認事項となってしまいます。もちろん、無駄な立法ではあるけれど、確認事項であるという解釈も成り立つわけで、通説はそのような立場を採っているようです。 このような通説の立場では、少しでもある程度の長文にわたる場合には、転載などに利用することは著作権侵害になってしいますが、高林龍著「標準著作権法(36ページ)はそれに対し、「しかし,むしろこういった類の情報は広く公衆に周知させることに価値があるのであって,著作権法は著作権の制限をするにとどめることなく,これらの時事の報道記事等は言語の著作物に該当しないとして,著作権の成立自体を否定したものと解するのが妥当ではあるまいか。」と反論しています。 「時事の報道」の範囲を広く捉える意見も では、具体的には、どのような記事が「時事の報道」と考えられるでしょうか。この点、高林龍著「標準著作権法(37~38ページ)は次のように述べています。「時事の報道」の範囲を広く捉える意見だといえるでしょう。
社説をウェブぺージに転載できるのか 著作権法39条は次のように定めています。
では、ウェブぺージに社説を、(引用ではなくても)転載することはできるのでしょうか。新聞・雑誌・放送局は法人ですが、ウェブぺージは個人が開設するものが大半です。しかし、法人と個人で異なった扱いをする合理的理由はないので、ウェブぺージに転載することも認められていると解する余地はあるのではないでしょうか。 |