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読書ノート / 近現代史
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本書の内容は次のようになっています。日本人関係者の経歴や行動を丹念にたどることにより、事件の全容に迫ろうとしています。登場するのは、軍人、外交官が中心で、壮士や写真師が脇役です。
「序章 王妃の写真」では、一枚の写真を取り上げています。本書の表紙に使われている写真は、角田房子著「閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母」はじめ多くの書籍で、「閔妃(明成皇后)の写真」として使われているものです。しかし、その真偽については、日本や韓国で多くの議論があります。 著者は、この問題について、1章を割き詳細に検証していますが、次のように述べて(34ページ)、「これは、王妃ではなく、間違いなく宮女である」と結論付けています。「仮髪と衣装が王妃のものとしては、品質は全く違う」というのが最大の根拠のようです。
この事件については、外交文書や裁判記録、関係者の手記など膨大な史料が残っており、王妃殺害の主犯は三浦梧楼であることに疑いの余地はありませんが、はたして三浦梧楼の単独犯行なのか(秦郁彦はじめ日本の保守派の主張、読書ノート/旧日本陸海軍の生態学 - 組織・戦闘・事件)、伊藤内閣も関与しているのか(韓国学者やマスコミの主張)について意見が対立しています。 この問題については、伊藤内閣の関与を示す手紙が見つかったと、2005年に韓国紙が報じたことから歴史家の間で話題となりました。この手紙について、著者は次のように述べています(75〜76ページ)。
各章は独立した形で、関係者個々の経歴や行動を丹念にたどっています。そして、一見無関係に見える軍関係者が見えざる糸でつながっており、王妃殺害という目的に向かって、影の主役・川上操六参謀次長に収斂するという構造になっています。 ただ、そのため、事件全体の概要がややわかりにくくなっている感があります。したがって、角田房子著「閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母」などを読んでおいた方がよいかもしれません。 著者は、終章で本書の結論を次のように述べています(358〜359ページ)。
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